WINの事業プロジェクト

社学連携グループ
電子冷暖房ウェア プロジェクト

プロジェクト代表者:WIN理事 菅沼 邦雄

研究開発の背景

先天性無痛無汗症は、生まれつき熱さ寒さに対する感覚が低下しており、また汗が出ない病気です。夏期においてだけでなく、運動をした時にも、汗をかかないため高体温による熱中症になったり、熱性けいれんや急性脳症を引き起こす危険もあり、通常の生活が送れずに患者は苦しんでいます。
  NPO法人「トゥモロウ」は、このような子供を持つ親の集まりです。
  高体温にならない対策としては、高温作業用の冷却スーツの流用が行われていますが、これはアイスノンのような蓄冷材を複数のポケットに挿入して用いるもので、局部的に冷えすぎる、重すぎる、持続時間が短い、などの欠点があります。
  冬期や寒冷地においては低体温になりやすく、厚着で対策していますが、室外室内を移動するなど環境温度が変化した時の対応が難しいなどの問題が多くあります。特に乳幼児期から学童期において、高体温・低体温に伴う危険が多くあります。
  研究開発型NPO「WIN」は、NPO「トゥモロウ」からの要請を受けて、セコム科学技術財団と㈱山武の支援のもとに技術開発に着手し、研究をはじめました。

研究開発の目的

  • 上記欠点を改良し、無痛無汗症の年齢の低い子供にとっても活動しやすく、体温の上昇や低下の両方を防止できる、新しい冷暖房空調服を、最新の電子技術を用いて開発すること。
  • 研究開発の成果を産業用、民生用の用途に拡大して、使いやすくファッショナブルな空調服を開発し、働きやすい空調服、楽しみを広げる空調服として、市民生活の充実に寄与すること。

研究開発の概要

  • 制御可能な冷暖房素子と体温を検出するセンサーとを内蔵し、小型軽量な電源を有する、無痛無汗症の患者が快適に日常の生活を送ることが出来る、空調服の研究開発を行う。
  • 着用者の体をムラ無く効率的に加温および冷却する冷暖房素子の配置方法について医学的知見をベースにした研究を行う。
  • 冷暖房素子としては加温と冷却が自在に行えるペルチェ素子を採用し、吸熱と放熱とが効率的に行える実装方法の研究と、体温検出センサーおよび環境温度検出センサーを加えた温度制御方法の研究、そして低消費電力化の研究とを行う。
  • 電源としては、軽量な充電池と、燃料電池とを取り上げ、長時間駆動能力、軽量化、体に装着しての携行のしやすさ、充電等の扱いやすさ、などの研究を行う。
  • 体温、湿度、脈拍など生体情報をセンシングして、冷暖房素子への電流を制御する研究を行う。
  • これらの情報を微弱無線または生体内情報通信手段によってネットワークへ送出し、データベースと連動したフィードバックシステムを構築する。
  • これらの要素技術をまとめて、空調スーツを試作し、ダミー人形を用いて温度調整能力の実測評価を行い、次に患者に着用して貰っての空調効果の測定と快適さの評価とを行なって完成度を高め、無痛無汗症患者の日常生活への導入を図る。
  • 並行して、産業用、民生用の空調服の用途、望ましい形態、特性を研究し、上記空調服の開発成果を生かして、胴体用、頭部用、指先用など、多様な形態の製品を市場に提供する。

進捗状況

  1. ベストの試作品完成
  2. 体力の弱った高齢者や障害者は、夏季には戸外の暑さに耐えられないため、外出を控えざるを得ない状況にあり、高齢者福祉施設や病院の関係者からも夏季でも安全に快適に外出できる冷房車椅子の開発の要望があった。
        電子冷暖房ベストの機能を展開させ、車椅子のシートを冷却するとともに、車椅子に乗る人を冷気で覆って炎暑の外気を遮り、快適な戸外活動を可能とする「電子冷暖房車椅子」の試作品完成。


    夏季の実験で試乗した高齢者の好評を得た。

今後の展望

生産実用に向けての活動を開始する。
  本冷房システムは、身体の周辺のみを快適空間にする運搬も容易なシステムであるので、健常者が夏の野球観戦などの野外レジャーに使うなど、応用の発展が期待出来るものである。
  需要が拡大すればコストダウンも進むので、本来の福祉用途にも求めやすい価格で提供することが出来るようになる。

事業プロジェクト

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